おもな肝臓の病気
肝臓は体の中で一番大きい臓器で、2500億個の細胞でできています。
栄養素の貯蓄と代謝、解毒など500を超える機能をもち、体の貯蔵庫や化学工場に例えられます。
病気にかかってもすぐには症状が出にくいことから、「沈黙の臓器」とも呼ばれています。
肝臓は、かなりの肝細胞が壊れても、残った正常な細胞がカバーして機能を維持します。
タフな反面、病気になっても、かなり進行するまで気づかないので要注意です。
B型肝炎やC型肝炎が怖いのは、感染に気づかないまま放置すると、肝硬変や肝がんに進行する場合があるからです。
肝炎ウイルス検査はさまざまな機関がさまざまな制度で行っています。
自覚症状がなくても受診し、診断を受けましょう。
肝炎ウイルスの感染は、血液を採取して調べます。
短時間の検査で数週間後には結果がわかります。
感染直後は、検査でもウイルスを発見できないことがあります。
感染を不安に感じたときは、数週間後に検査を受けてください。
肝臓のおもな役割
貯蔵:食物から吸収した栄養素をいったん貯蔵する。
代謝:貯蔵した栄養素から体に必要な成分をつくり、血液から全身に供給する。
解毒:体内で生成されたアンモニアを尿素に変える。その他の毒素や細菌、薬物なども無毒化する。
胆汁の分泌・排泄:胆汁は脂肪の消化吸収やビタミンの吸収を促進するほか、余分な成分を排泄する働きをもつ。
おもな肝臓の病気
肝臓は、かなりの肝細胞が壊れても、残った正常な細胞がカバーして機能を維持します。
タフな反面、病気になっても、かなり進行するまで気づかないので要注意です
肝臓が衰えると、全身に十分な栄養が届かないなど、深刻な事態を招きます。
肝脂肪
肝臓に中性脂肪がたまった状態です。
肝臓内の血液の流れが悪くなり、肝機能が低下します。
原因:お酒の飲みすぎ、肥満、糖尿病
症状:特有の症状はなく、やがて肝機能の低下を招く
治療:原因に対する対策を講じる(アルコール性は禁酒で改善)
肝炎
肝臓の細胞が広い範囲にわたって壊れた状態になります。
原因:ウイルス、アルコール、薬剤、自己免疫の異常
6か月以上、症状が続くのは《慢性肝炎》
肝臓の細胞に、何十年もウイルスが住みつきます。
長期間、軽度の肝障害が続くために徐々に肝臓が線維化し、肝硬変や肝がんのリスクが高まります。
症状:多くの場合、ほとんど症状がない。長年経過すると、全身倦怠感や疲れやすさなど。
1〜2か月で症状が治るのは《急性肝炎》
急性に肝細胞が破壊され、かぜに似た症状や黄疸が現れます。
症状:全身倦怠感、食欲不振、発熱、吐き気、腹痛、黄疸(皮膚や白目の部分が黄色く見える症状)、など
治療:多くは自然経過で治療するが、安静を怠ると危険。入院して栄養補給を受ける。
肝硬変
肝臓が線維化して硬くなり、血液が悪くなって機能が低下する病気です。
肝硬変になると、多くは肝臓のがんを発症します。
原因:おもにウイルス性肝炎から進行
症状:初期では症状がないか、気がつかない。
進行すると、肝障害特有の症状が出る
肝細胞機能の低下による症状:黄疸、肝性脳症(興奮や錯乱など)、出血など
血流障害による症状:腹水(お腹に水がたまる)、むくみ、黄疸、てのひらが赤くなる、月経異常など
治療:肝硬変の根本的な治療は難しく、合併症に対する治療が主体
肥満から起こる肝硬変が増加中《ナッシュ(NASH:非アルコール性脂肪肝炎)》
お酒をあまり飲まないのに、脂肪肝から進行して肝臓の線維化や炎症を起こす症例が増えています。
これをナッシュと呼び、そのまま肝硬変に移行する確率が高いので注意が必要。
脂肪をためない生活習慣の心がけが大切です。
肝がん
がんの中では肺がん、胃がん、大腸がんに次いで多くの人が亡くなります。
約80%がC型肝炎、約10%がB型肝炎から進行したもの。
比較的初期の段階から、肝臓の中で転移することが多くあります。
原因:おもにウイルスによる慢性肝炎、肝硬変から進行
症状:肝がん特有の症状はなく、慢性肝炎や肝硬変の症状が多い
治療:症状により、病巣の切除やその他の治療がある